人の目の特徴として、暗いところでの見え方と明るいところでの見え方に違いがあることについて、ご存じでしょうか。 例えば、昼間に周囲の様子を見ている時などは、どのように見えているかを意識してみると、色が鮮明に識別でき、細部までよく見え、また視野に関しては特に中心部がよく見えていることに気が付きます。 一方、夜に明かりをつけないで部屋にいると、白・黒・グレーの世界になっていて、色が識別できないことに気が付きます。また、細かいものがぼやけ、視野の中心部がむしろ見えにくいものの、そこそこ暗いのに淡い光でも結構見えてしまう。 このようなことが起こるのは、実は、暗い時と明るい時では働く細胞が違うからです。 人の網膜には光を感じる細胞(視細胞)が二種類あります。この二種類が使い分けられることで、明暗の見え方の違いが生じます。 色が見えない理由 暗所では桿体細胞だけが機能します。桿体細胞は「ロドプシン」という一種類の光感受性タンパク質しか持たず、光の強弱は感知できますが波長(色)の違いを識別できません。 解像度が低い理由 桿体細胞は多数の細胞が一本の神経線維にまとまって接続されています(収束結合)。これにより感度は上がりますが、「どこからの光か」という位置の精度が落ちます。一方、錐体細胞は一細胞に対してほぼ一本の神経線維が対応しているため、高解像度を実現しています。 中心部がかえって見えにくい理由(中心暗点) 網膜の中央(中心窩)は錐体細胞が集中し、桿体細胞がほとんどありません。暗所では桿体しか機能しないため、中心窩に向けてものを見ようとするとかえって見えにくくなります。天体観測で星を直接見ず、少し視線をずらして見るのはこのためです。 色が見える理由 錐体細胞には三種類があり、それぞれ感受性のピークが異なる波長を持っています。L錐体(赤系)・M錐体(緑系)・S錐体(青系)の三種類が異なる強さで反応した組み合わせを脳が処理することで、何百万色もの色を識別できます。 解像度が高い理由 中心窩の錐体細胞は密集して並び、かつほぼ1対1で神経に接続されているため、精密な位置情報が伝わります。 環境が変わったとき、視覚系が対応する過程にも明暗で大きな違いがあります。 映画館に入った直後、何も見えない状態から徐々に見えるようになる現象です。 所要時間:完全には20〜30分かかる 最初の5分ほどは錐体細胞が順応し、その後桿体細胞のロドプシンが再合成されていく ロドプシンは明るい場所では光によって分解されており、暗所で時間をかけて回復する 回復途中に明るい光を一瞬でも見ると、ロドプシンが再分解されてリセットされてしまう 暗い場所から急に明るい場所に出ると、一時的にまぶしくて見えなくなりますが、暗順応より速く回復します。 所要時間:1〜2分程度 錐体細胞が機能を回復する過程で、桿体細胞が光に飽和して働かなくなるまでの時間が短い 昼間は赤いバラが最も鮮やかに見えるのに、薄暮では青系の色がより明るく感じられるという現象があります。これをプルキンエ現象と言います。 桿体細胞(ロドプシン)の感度ピークは青緑あたり(約500nm)にあります。一方、昼間に機能する錐体細胞の感度ピークは、L錐体(長波長・赤系)約557 nm、M錐体(中波長・緑系):約531 nm、S錐体(短波長・青系):約431 nmです。 つまり暗くなるにつれて視覚の主役が錐体→桿体に交代するため、感度のピーク波長が青側にシフトし、赤系が暗く、青系が相対的に明るく感じられるようになります。夕暮れ時に青い花が白く輝いて見えるようになるのはこのためです。 人の目は、一つの器官の中に「高感度・低解像度・色なし」の夜用システムと「低感度・高解像度・色あり」の昼用システムを共存させるという、精巧な進化的解決策を持っているのです。二種類の視細胞
暗所での見え方(暗所視)
明所での見え方(明所視)
働く細胞のスイッチング
暗順応(明→暗)
明順応(暗→明)
色の見え方の違い:プルキンエ現象
まとめ
東和電気株式会社
住所:神奈川県平塚市代官町23−29
電話番号:0463-22-3366
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